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 琉球大学の熱帯生物圏研究センター、山城秀之教授らのグループが、座間味村のサンゴ礁に棲息するソフトコーラル(アミメヒラヤギ)の群体上に大量繁茂し死に至らせる糸状のシアノバクテリアの維持機構を解明しました.
 サンゴ礁の立役者であるイシサンゴ類は,オニヒトデ等による食害,海水温度の上昇による白化現象などにより急速に減少しています.加えて,2000年以降は様々な病気(感染症)の増加も減少に拍車をかけています.イシサンゴ(ハードコーラル)同様,イシサンゴに近い仲間のソフトコーラルも,土壌菌の感染症によって大量死することがカリブ海から報告されています.今回,私たちの研究グループは,座間味村阿嘉島沖水深約20mのきれいなサンゴ礁に棲息するソフトコーラルの1種アミメヒラヤギ(Annella reticulata)群体上に大量に繁茂する糸状の細菌(シアノバクテリア)に着目し研究を行ってきました.調査場所の1/4の群体が罹患し,覆われた箇所は次第に死亡します.なぜアミメヒラヤギ群体のみに糸状のシアノバクテリアが繁茂するのか,今回,その機構を解明しました.
 外国のサンゴ礁(フロリダ等)において,ソフトコーラルのヤギ類にシアノバクテリアが繁茂する事例が報告され,富栄養化が原因です.また,まわりのイシサンゴや岩などでも繁茂します.しかし,阿嘉島の海域の栄養塩類の濃度は低く,ヤギ類にのみからむため水質汚染(富栄養)が原因ではありません.今回のシアノバクテリアは,形態および遺伝子解析の結果からMoorea builloniiと同定されました.このシアノバクテリア塊の多くは直径数cmで円柱状を呈し,その中にはツノナシテッポウエビAlpheus frontalisが見られました.このエビはシアノバクテリアを摂食すると同時に営巣にも用います.エビはアミメヒラヤギの枝にシアノバクテリアを結わえて固定し巣を作るため,周年の繁茂が可能になっていると考えられます.
 シアノバクテリアはエビによって結わえられて絡むだけでなく,アミメヒラヤギの枝に穿孔する能力を持つことも初めて明らかになりました.その際,先端は毛根のように膨らみ,これがアミメヒラヤギの枝の中でアンカーの役割を担っていると考えられます.
 サンゴ礁は白化現象に代表されるように地球規模の気候変動によってダメージを受け,またローカルには細菌等の攻撃による感染症の発症,あるいは海藻との競合など他の生物との負の関係も目立つようになってきました.今回の研究では,共生エビが介在するシアノバクテリアの繁茂がアミメヒラヤギ群体の死につながること,およびシアノバクテリアが穿孔能力を持つことを明らかにしました.サンゴ礁の劣化に伴い,今後もこれまで知られていなかった生物同士の競合が起きると予測されます.

topics201408
この研究成果は、Scientific Reportsのオンライン版に掲載されました。
http://dx.doi.org/10.1038/srep06032