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 琉球大学熱帯生物圏研究センターの波利井准教授とオーストラリアの国際共同研究チームは、地球温暖化が進み海水温の上昇が起こると、生まれたばかりのサンゴの浮遊幼生(子供)は、現在よりも数倍高い割合で親のいるサンゴ礁に留まることを、室内飼育実験とモデルにより明らかにしました。

 サンゴは骨格を作って海底に固着して生活しているため、移動することできません。しかし多くのサンゴは産卵し、子供(プラヌラとよばれる浮遊幼生)をつくり、流れにのせて移動させて分布域を広げることができます。サンゴの幼生は数日から数週間、海洋を漂った後(分散)、新しい海底に定着して親サンゴへと成長します。あるサンゴ礁が白化などで壊滅しても、他のサンゴ礁から幼生が流れ着き成長してくれれば、回復することができます。幼生がどのくらいの期間、漂っていくかは水温に大きく依存しますが、気候変動により幼生分散にどのような影響があるかはわかっていませんでした。本研究では、海水温が上昇すると卵の発生が早くなり、現在よりも多くの幼生が親のサンゴ礁に留まり、浮遊幼生によるサンゴ礁間のつながり(連結性,connectivity)が変わることが示されました。

 このことは、周辺に他にサンゴ礁がない遠隔のサンゴ礁にとっては、幼生が親の近くに留まることによって白化等の撹乱からの回復が促進されることを示しています。しかし、琉球列島など多くのサンゴ礁では、離れたサンゴ礁の間でお互いに幼生を供給し合ってサンゴ群集を維持しており、あるサンゴ礁が白化などによって死滅してしまうと外部からの幼生供給が少なくなり、回復しにくくなってしまうことが予想されます。

 この研究成果は、Nature Climate Changeのオンライン版に掲載されました。
 http://dx.doi.org/10.1038/NCLIMATE2210