琉球大学の熱帯生物圏研究センター、屋 宏典教授らのグループが、沖縄で長年薬草として用いられてきた長命草(ボタンボウフウ)に含まれる抗肥満物質を発見いたしました。

長命草(ボタンボウフウ、Peucedanum Japonicum Thanb)は沖縄県で伝統的に野菜/薬草として食されており、防腐、抗血小板、抗アレルギー、鎮痛作用といった生理活性が報告されています。また、伝承的に抗肥満効果があるとされていますが、実験的にこれを検証した報告はありませんでした。私たちの研究室では動物実験で長命草の抗肥満効果を実証するとともに、細胞試験に基づいて抗肥満成分を分離し、その化学構造を決定することに成功しました。

長命草中の抗肥満成分はクマリン化合物の一種でプテリキシンという物質です。長命草に含まれるイソサミジンというクマリン化合物について血管拡張作用や抗動脈硬化作用が既に報告されていますが、抗肥満成分を発見したのは私たちの研究が初めてです。プテリキシンは脂肪細胞や肝臓細胞での中性脂肪の合成を抑制する一方、筋肉細胞においては脂肪の燃焼を促進して、体脂肪の蓄積を抑制いたします。長命草には抗肥満成分として喧伝されているクロロゲン酸も含まれていますが、プテリキシンの抗肥満作用はクロロゲン酸よりも強いことも明らかにしました。また、長命草に含まれるこれらの成分濃度には地域差が認められ、緯度が低いほど、南の地域で生産されるものほど、その濃度が高いことも示唆されております。従って、沖縄は肥満効果をもつ長命草を栽培するのに国内では最も適している可能性も考えられます。

沖縄では肥満が健康上の大きな問題としてクローズアップされています。長命草を始めとする抗肥満成分の作用を上手に利用することで、県民の健康増進に寄与することも可能と考えられます。また、同時に地産地消で地元の健康食品製造の活性化にもつながることが期待されます。

この研究成果は、オランダのElsevier社が出版しているNutritionのオンライン版に掲載されました。
http://dx.doi.org/10.1016/j.nut.2014.01.015