研究内容

 近年の塩基配列解読技術の革新により、生物の全ゲノム情報や遺伝子発現を網羅的かつ迅速に解析することが可能となっている。こうして得られた膨大かつ多様な生命情報を収集・解析することにより、生物の代謝や機能、複雑な生物複合体の構成や、その中の生物間相互作用に至るまで、生物の生き様を多角的に理解することが可能となってきた。環境生命情報学分野では、このような膨大な生命情報を活用して、熱帯・亜熱帯生物圏に特徴的な生物を対象とした、生理や生態、生物間相互作用の理解を目的とした教育・研究を推進している。

 具体的な研究課題としては、沖縄近海に生息する、有用生理活性物質が見出されている海綿等の海産生物と、その真の生産者と考えられている共生微生物を対象とした網羅的な微生物相解析を行って、その独特な共生関係の詳細を明らかにすることを試みている。また、このような培養が困難な有用共生微生物をゲノム情報の面から解析し、生理活性物質の生合成経路の解明や応用研究への展開も目指している。これと平行して、沖縄の微生物資源の利用拡大を目的として、環境中の難培養微生物の培養化技術開発にも力を入れている。その他の学術的課題としては、メタン生成アーキアと機能未知真正細菌の2つの共生体を細胞内に保持するトリミエマ原虫をモデルとして、細胞内共生機構の解明にも取り組んでいる。

 環境生命情報学分野では、これらの具体的研究課題に加えて、先端シーケンサーの運用と解析を軸として学内外の共同研究を積極的に推進しており、熱帯生物圏研究センターの研究拠点機能の一端を担っている。

  • 有用生理活性物質を産する海綿の一種。海綿は種によって体積の40%程も共生微生物によって占められており、有用生理活性物質の生産にはこれら共生微生物の働きが重要だと考えられている。
    有用生理活性物質を産する海綿の一種。海綿は種によって体積の40%程も共生微生物によって占められており、有用生理活性物質の生産にはこれら共生微生物の働きが重要だと考えられている。
  • 嫌気性繊毛虫の一種であるトリミエマ原虫は、細胞内にメタン生成アーキアと機能未知の真正細菌を保持している、貴重な細胞内共生研究のモデルである。写真は脂質顆粒のナイルレッド染色像。
    嫌気性繊毛虫の一種であるトリミエマ原虫は、細胞内にメタン生成アーキアと機能未知の真正細菌を保持している、貴重な細胞内共生研究のモデルである。写真は脂質顆粒のナイルレッド染色像。
  • H27年度にトリミエマ原虫に細胞内共生する機能未知共生体TC1の完全長ゲノム解析(1.59Mb)に成功した。
    H27年度にトリミエマ原虫に細胞内共生する機能未知共生体TC1の完全長ゲノム解析(1.59Mb)に成功した。

メンバー

役職 氏名
准教授 新里 尚也
助教 伊藤 通浩

キーワード